砂糖についてマニアックな解説

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砂糖の甘み成分

お菓子作りに使われる甘味成分

お菓子作りに使われる甘味成分として、最も広く使われているのは砂糖であり、砂糖の主要な甘味成分は「ショ糖」という二糖類です。

このショ糖は、果糖とブドウ糖が結合した構造を持っており、非常に安定性が高いため、お菓子作りに大量に使用することができます。

一方、「果糖」と「ブドウ糖」は、蜂蜜や果実類などに広く存在している糖類で、それぞれ単独でもかなり強い甘味を持っています。

しかし、お菓子作りにはあまり使用されず、その主な理由は、果糖とブドウ糖が非常に変化しやすい「還元基」と呼ばれる部分を持っていることにあります。

この還元基が状況によって二種類に変化する性質を持っており、同じ種類の糖でも還元基の型が異なると甘味の強さが異なります。

また、果糖やブドウ糖は、アミノ酸などと反応して焦げ色の原因物質となる性質を持っており、取り扱いに注意が必要です。

以上の理由から、お菓子作りには砂糖が最も広く使われているということになります。

砂糖の原料

砂糖はお菓子作りに欠かせない素材で、上白糖、グラニュー糖、双目糖など、いくつかの種類があります。

しかし、どの種類の砂糖も、基本的には「砂糖きび」と「砂糖大根」という2つの原料から作られています。

これらの原料から作られた砂糖は、主に「ショ糖」という成分からできており、原料による品質の違いはほとんどありません。

つまり、どの種類の砂糖を使っても、基本的に同じ味や特性を持つことができます。

砂糖きび

砂糖きびとは、トウモロコシに似たイネ科の多年性植物で、高さは3〜6メートルほどあります。


この植物の節と節の間には柔軟な組織があり、大量の「ショ糖」が含まれています。


この砂糖きびは、平均気温が20〜30度の熱帯や亜熱帯が適した栽培地域で育てられます。

世界的にはキューバ、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、ジャワ、台湾、フィリピン、日本の九州以南などで栽培されています。

栽培地と消費地が遠いため、通常は栽培地で粗く精製され、「原料糖」として消費地に運ばれ、さらに精製が行われます。

砂糖大根

砂糖大根は、アカザ科の植物で、形が大根に似ています。

この植物の根の部分には直径10〜15センチの大きさでショ糖が含まれています。

栽培に適するのは、冷涼な地域で、北海道などで栽培されています。

栽培地が消費地に近いため、栽培地で最終段階まで精製されることが一般的です。

また、特別な砂糖として、「砂糖楓」と「砂糖ヤシ」から作られる砂糖があります。

これらの砂糖は、普通「搾り汁」をそのまま煮詰めて作られるため、非常に強い風味を持っています。

ただし、生産量が少なく、独特なクセがあるため、あまり一般的には使用されていません。

砂糖の製造法

砂糖の原料には「砂糖きび」と「砂糖大根」があり、両者の製造の原理はほぼ同じです。

ただし、「砂糖きび」の場合、栽培地と消費地が遠く離れているため、まず栽培地で糖液を粗く精製して「原料糖」として作られ、それを消費地に運ばれてから更に精製されます。

一方、「砂糖大根」の場合、生産地が消費地に近いため、原料糖を作らずに直接高純度の砂糖が作られます。

つまり、「砂糖きび」は二段階の精製が必要で、生産地と消費地が離れているため輸送コストが高くなる一方、「砂糖大根」は直接精製して高品質の砂糖を生産できます。

生産地

1.切断・圧搾

砂糖きびを細かく切断し、ロール機を通して糖汁を搾り取る。

2.清浄化

糖汁に含まれる不純物を沈殿・除去するために、石灰などを添加する。

3.濃縮・結晶化

清浄化した糖液を加熱濃縮し、種糖を加えることで、ショ糖の結晶が糖液の中で結晶化してくる。

4.分離

遠心分離機でショ糖の結晶を分離し、茶褐色の原料糖を得る。原料糖は消費地に運ばれる。

消費地

5.洗糖溶解

「原料糖」を糖蜜で洗浄し、湯に溶かして再度「糖液」の状態にする。

6.清浄・脱色

活性炭などを加えて不純物を除き、無色透明の高純度の「ファイン・リカー」を作る。

7.濃縮・結晶化

「ファイン・リカー」を濃縮して、「種糖」を加えて結晶化させる。

8.分離

遠心分離機でショ糖の結晶を分離し、「一番糖」と呼ばれる砂糖を得る。糖液は再度濃縮・分離を繰り返し、「六番糖」までショ糖を分離する。

9.乾燥・篩分

ショ糖の結晶を乾燥し、粒径を整える。

10.加工

特殊な加工糖を製造する場合は、精製した砂糖を再結晶・整形する。

砂糖の種類砂糖の色
1番糖白双糖、中双糖、グラニュー糖白色
2〜3番糖グラニュー糖、上白糖白色
3〜4番糖中白糖薄褐色
5番糖三温糖黄褐色
6番糖再溶解して用いる糖褐色

砂糖の分類

砂糖には多くの種類がありますが、製造プロセスやショ糖の純度から、以下の5つの系統に分類できます。

含蜜糖

含蜜糖は、原料から搾り取った糖汁をそのまま煮詰めた砂糖で、不純物が多いためショ糖濃度は高くありませんが、糖蜜やミネラルを含んでいるため、濃厚な甘味と豊かな風味があります。

黒砂糖(ショ糖80~87%)

黒砂糖は、砂糖きびの搾り汁を煮詰めて作った黒褐色の砂糖で、沖縄や鹿児島の南西諸島で主に製造されています。独特な風味と濃厚な甘味を持っています。

楓糖(メープル・シュガー)


楓糖は、砂糖楓の樹液を煮詰めて作った茶褐色の砂糖で、カナダ東部やアメリカ東北部で主に製造されています。


蜂蜜のような独特な芳香成分を含んでいます。


同じ樹液から作られるメープルシロップも、独特な風味を生かしてホットケーキやワッフルなどのシロップとして好まれています。

ヤシ糖

ヤシ糖は、砂糖ヤシの花茎または幹から採取した樹液を煮詰めて作った黒褐色の砂糖で、主にインドで製造されています。

分蜜粗糖

分蜜粗糖は、砂糖きびなどから搾り取った糖汁を煮詰めて作った砂糖です。

この砂糖は、糖蜜を分離しているものの、あまり精製していないため、独特の風味が残っています。

結晶化されたショ糖の結晶が独特の風味を持つため、お茶やコーヒーに入れるのによく使われます。

原料糖

砂糖きびから作られる粗糖で、あまり精製されていないので風味が残っています。

和三盆

糖液から分離した粗糖を手で練り上げ、圧搾操作を繰り返して作られる砂糖。


微細でなめらかなショ糖の結晶を持ち、和菓子の材料として珍重されています。

車糖

車糖は、原料糖を純化して作った「ファイン・リカー」の「二〜五番糖」として製造される砂糖で、結晶がごく細かく、甘味にコクがある特徴があります。

また、「ビスコ」と呼ばれる「転化糖」が添加されているため、しっとりとした食感も持っています。

上白糖(ショ糖97.8%)

「ファイン・リカー」の2〜3番糖から作られ、しっとりとした甘味とコクがあり、日本の砂糖の約半分を占める。

中白糖(95.7%)・三温糖 (95%)

上白糖とほぼ同様に作られるが、灰分などの含有量が高く、薄茶色に色づく。

双目糖

双目糖は、ファイン・リカーを原料として作られ、一番から二番の砂糖で結晶化される高純度の砂糖です。

車糖よりもショ糖の純度が高く、湿気を吸いにくく、サラサラとした光沢があります。

また、転化糖をほとんど含まないため、甘味にクセがなく、砂糖として広く利用されています。

グラニュー糖・白双糖(ショ糖99.95%)

最高純度の糖液から作られる無色結晶状の砂糖。
ショ糖純度が非常に高く、転化糖をほとんど含まないため、サラサラとした光沢を持ち、甘味にもクセがありません。

中双糖(ショ糖99.7%)

ショ糖の純度は非常に高いのですが、分蜜の際にカラメル溶液を結晶表面にかけて色の調整を行なうため、薄茶色に色づいて独特の風味が加わっています。

 加工糖

加工糖とは、「双目糖」という原料を使い、様々な方法で再加工や再結晶などの加工処理を施した砂糖のことです。

角砂糖(ショ糖99.75%)

グラニュー糖に少量の糖液を混ぜて型に詰め、粒子同士を結合させた砂糖。

粉糖(パウダーシュガー)

グラニュー糖を粉砕したパウダー状の砂糖で、デンプンが少量添加されていることが一般的。

氷砂糖(ショ糖99.85%)

ショ糖99.85%の濃い糖液に種糖を加えて静置または回転させ、大きな結晶を作り出した砂糖。

続きは後日アップします!

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